Full moon
狭く暗い部屋に閉じ込められ
出口を探してもがいていた
出口だと思って扉を開いても
また別の扉が何重にも私を閉じ込める
扉を開いて進めば進むほど
蜘蛛の巣の張った部屋に
淀んだ空気の部屋に
絡め取られていくばかり
ふと、右上を見上げる
そこには天窓がわずかな光を宿している
そちらに歩を進め、窓を開く
そこは巨大な満月に照らされた夜の世界
「やぁい、騙されたぁ」と
二人の女の子が風車を持って波止場を駆け抜ける
それは夜に遊ぶ妖精たちのよう
少し怖い私
けれど月はとても美しく輝き、
静けさの中で私を包み込む
私が閉じ込められていたのは古い大きな和船と気づく
障子は破れ、中は散らかり埃まみれで
もうそこからは出なくてはならなかったのだ
暗いけれど清涼な空気の下にたたずみ
私は古い世界にさようならを告げる
夜が明けるまでまだ少し時間がある
それまでこの夜の中で妖精たちと一緒に過ごそう・・・